第81回企画- 井桁裕子「風の世紀」展

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Galerie LIBRAIRIE6/シス書店では第81回企画として、
井桁裕子「風の世紀」展を9月5日(土)~ 9月20日(日)まで開催いたしました。

WEBサイトより作品をご覧いただけるようオンライン展示を開催しておりますので、
そちらも併せてご覧頂ければ幸いです。
井桁裕子「風の世紀」オンライン展はこちら>>

井桁裕子、陶作品のみによる初個展。 
これまでライフワークとして大きな肖像作品に取り組んできましたが、その傍ら続けてきた「陶」の制作は両手の中に収まるサイズで、特定の個人をテーマにはしていません。舞踏する人物のイメージや、とりわけ近年では自然科学や形而上学的な探求がモチーフになっています。本展では「人形」を表現として取り組んできた制作の、新たな到達といえる作品を約20点展示いたします。
※作家在廊日:9月5日.6日.11日.12日.13日.19日.20日

「風の世紀」について
「陶」の制作は、2005年頃から少しづつ始め、ずっと試行錯誤を続けてきました。その時々の自分のイメージを実験的に形にできる素材として始まり、少しづつ、作品と言えるものを作れるようになっていった気がします。
この作業には、私はあまりデザイン的な計画性をもって取り組むことができません。スケッチで面白くても、実際に立体になってみるとあまり美しくないのです。土の素材が持つ性質にまかせて、重力と折り合いをつけながら、文字通り手探りすることになります。一定の「人形」としてのルールだけは決めておく意味で、人物の顔と、何か印象深い「動き」を感じさせる形を造形して組み合わせていきます。それは舞踏する人物のイメージや、流体などがモチーフになっていきますが、時には人間のイメージから離れすぎて顔をつけられない造形もあります。そこで、今回は人形以外のものも出品しました。
近年で衝撃的に制作に推進力をもたらしたのは、解剖学から生物の形態について深い研究を行った三木成夫の著書でした。その最も有名な内容は、人間の胎児は地球の生命体の進化の順序を正しくたどりながら成長していく、という発見でしょう。のみならず、植物が太陽系のリズムに基づいて生き、動物(人間)の生命のリズムもそれによって作られていく。様々なそうしたリズムは、植物・動物の内臓器官・流体・銀河系の形に至るまで、螺旋・渦巻きの動きを見せるということなども、宇宙の根源を感じさせる考察です。
地球・月・宇宙と人間の営みの不思議な連動ということでは、私は占星術について思わざるをえません。今回の「風の世紀」というタイトルは、約20年に一度起きる木星と土星の直列が今年起きることから来ていて、それに関する西洋占星術の見解によるものです。
以下、簡単に解説しますが、その「木星と土星の重なり」は「大会合(グレート・コンジャンクション)」と呼ばれ、19世紀の初めから「土の星座」の領域(牡牛座・乙女座・山羊座)で起きていたのでした。今年のそれは水瓶座という「風(空気)」の星座で起き、やがて2199年に「水」の星座に移行するまでの2世紀前後の間、20年ごとにずっと「風(空気)の星座」(水瓶座・天秤座、双子座)で起こり続けるのだそうです。私はこれを重視して「風の世紀」という言葉をタイトルにしたいと考えたのです。
これまで大会合のあった「土の星座」は、物質・形ある実質的なもの・肉体的な感覚、動かず安定したものについて象徴します。一方、風(空気)の星座が象徴するのは、流れていく速さをもった軽いものです。精神的、社交的、抽象的なエネルギーです。人々のコミュニケーションや自由な思想、インターネット、そして疫病などもその範疇に属するものです。土の星座の時代は近代の産業革命に始まり、資本主義経済や重工業の発展、地下から掘り出した核物質なども含め、物質的・実利的なものの歴史だったと言えるでしょう。ゆえに今年の「土の星座から風の星座へ移っていく」大会合のタイミングは、とりわけ大きな時代の節目として人類史的に特別な意味を持つと考えられるわけです。現在私たちが感じている社会の大きな変化が、これに奇妙に当てはまる感じがあると言えないでしょうか。新しいコミュニケーションはめまぐるしい速度で進んでいます。絶望的な政治腐敗や自由の無い社会も、人類の成長と目覚めのうちに終わっていく古いものだった、、、と、これからの「風の世紀」の中で言える時代がくると思いたいです。展覧会タイトルはほぼそういったことで、必ずしも個々の作品がそこに沿ったものではないですが、通奏低音のように響いていると思います。
                         2020年 9月5日井桁裕子

井桁裕子 – Hiroko Igeta –
1967年東京に生まれる。武蔵野美術大学を卒業、デザイン会社に勤務。在学中に本城弘太郎氏に球体関節人形を学ぶ。1996年、自身の社会性において自分の身体を正しく把握できないことへの危機感から「セルフポートレートドール」として自分をモデルにした球体関節人形を制作。身体の主体と客体の問題に注目する。その後、友人の肖像の人形を制作し始め、現実に出会った人物をモデルにして制作する事がライフワークとなる。2004年に東京都現代美術館での「Dolls of INNOCENCE 球体関節人形展」に参加。その後デザイン会社を退職、イラストレーターとして独立する一方で、作家活動を本格的に開始する。以後、陶芸などにも表現と技法を模索する。2005年、張り子や桐塑などの、丈夫で環境負荷の少ない素材での制作を学ぶため四谷シモン人形学校に入学。この頃に「舞踏」と出会い、球体関節人形のスタイルを越えた造形を求め始める。以来、桐塑、陶、布、油彩、人毛など様々な素材を使い、人間個人の存在感や身体のイメージなどを表現する。また、映画、演劇などへの作品提供でも活動の場を広げている。


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