第76回企画- 菅野まり子「憂島巡禮」展

Galerie LIBRAIRIE6/シス書店では第76回企画として、
菅野まり子「憂島巡禮(うきしまじゅんれい)」展を2月8日（土）～ 2月23日（日）まで開催致します。
2014年の「孤島にて」展から5年、新作タブロー25点程の展示予定です。

地は波打ち、水は変わり
かの島々は滅びゆく
打ち寄せる懐かしい痛みに
母たちは亡き子を歌い
次の星々を孕みゆく

虚空に浮かんだ浮島のような「憂島(うきしま)」は憂悶に囚われた母国であり、地球という母星かもしれません。
文明の末路となった憂島には、野生となった家畜動物たちの逍遥と、それでもなお、希望を孕もうとする、僅かなヒトが居ます。
それは生物に課された「生存」と「繁殖」という、使命(あるいは呪縛)から逃げようとしない(あるいは逃げられない)姿です。
おそらく、寂しく悲惨な光景かもしれません。
でも、人は悲劇を鑑賞することによってカタルシス(心の浄化)を得ると言われます。
巡禮者が聖地を目指すように、滅びの島々を巡り行き、信仰者が聖性に触れるように、画中で何かの光に出逢えたらと願う、ささやかな旅の絵巻です。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　菅野まり子

菅野まり子 – Mariko Sugano –
東京生まれ。
多摩美術大学大学院修士課程修了。
2001年度文化庁在外研修員としてドイツ・ドュッセルドルフに滞在。
現在、東京を中心に個展、グループ展で作品を発表している。アクリル彩や油彩で描画されたモチーフと漆黒の顔料を使った背景によって、何時（いつ）とも何処（どこ）ともいえない情景を描き、画面には特定の物語が表現されているのではなく、時代に滅ぼされることなく残存した古今東西のイメージ群が、風のように去来し現在と出会する神秘的な場を描き続ける。

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